自分と同じ境遇にいる、アメリカにわたってCSの修士を専攻している日本人学生ってどのくらいいるのかと思い、調べたところ興味深いデータが得られたので共有します。参考にした論文はNational Science FoundationのForeign Science and Engineering Students in the United States.こちらの論文のtable4では、主要国別のアメリカの学部・修士課程・博士課程に留学した人数及び専攻が書かれています。
2010年発行の論文であり、参考データは2009年のためかなり古く、特に中国、ベトナム等経済成長著しい国家は留学生数も近年激増傾向にあると推測されることから、必ずしも現在の参考にはならないかもしれませんが、大まかな傾向がわかったので共有したいと思います。
まず、驚いたのは日本人のCS修士は70人(2009年秋)のみでした。ちなみに、CS修士が一番多かった国はインドで16,270人!桁が違うとはまさにこのことですね。インドが成長著しいのもうなずけます。2位は中国で2,240人、3位は台湾で520人です。これは2009年秋の話なので、現在はこの傾向にさらに拍車がかかっているのではないでしょうか。
日本人留学生(修士)の専攻で一番多かったのはMBAで840人でした。公費や社費留学の機会も多いことから比較的行きやすいことも原因の一つかなと思います。理系で一番多かった修士の専攻は工学で130人でした。
ちなみに日本人留学生のCS学部と博士課程の留学生数はそれぞれ300人、30人。博士課程30人ってやばすぎますね笑 中国はこの時期CS博士課程に2,410人留学していたことからこの段階で既に業界の未来は見えていたのかもしれません。
話は日本人のCS修士課程に戻りますが、なぜこんなに少ないのかというとやっぱり日本の教育システム、就活、そして空気感の醸成、この三点につきるのかなと思います。というのも、日本では理系の学生は、国内大卒⇒国内院卒⇒メーカー等の研究職というのが王道ルートであるだけにこの道から外れたくないというのもあるかもしれません。既に国内で修士課程を持っているのに、アメリカで修士課程を取り直すというのも、仮に奨学金をもらえたとしても、よっぽど家庭に(時間的・金銭的な)余裕がないと考えづらいことですし、国内大卒で院から急にアメリカに飛び出すというのもかなり勇気のある決断ですからね。
同様のことは博士課程にも言えて、アメリカの博士課程は5年かかるので、院卒で働いている方が安定した職を離れ一念発起してアメリカで博士課程を志すというのは、よっぽどの勇気がない限り現実的ではないことですからね。ただ、これはまわりまわって(個人単位では最適と思える選択でも、集団あるいは共同体としては最適ではない選択であることから、)日本の国力の低下につながってくる話だと思う(というか既につながっている)ので、考え者です。やっぱり企業に、一度レールから外れたものを受け入れる土壌が醸成されない限り難しいのかもしれません。幸いなことにIT系は雇用の流動性が高く、こういった方々を受け入れる土壌は十分にあると思うのであとはこれを推進できるかかと。
少し長くなりましたが今日はこんなところです。
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