みなさんご機嫌いかがでしょうか。今日はプログラミング未経験の学生がアメリカの大学院でコンピュータサイエンス学ぶためのキャリアプランについてご紹介いたします。
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文系の大学・大学院を卒業しても就労ビザ(H-1B)の取得が困難
私の留学しているここアメリカでは、文系の学部・大学院を卒業した場合、(たとえ修士でMBAを取得したとしても)理系の学部、大学院卒業者と比較して専門性がないことから、就労ビザ(H-1B)の取得が困難となっております。(アメリカでCPAやBar Examを合格された文系の方はまだ望みはあるかもしれませんが。)
また、世界的にみても専門的技能者が歓迎される時代となっており、AIやサイバーセキュリティ等の観点で社会と密接にかかわっている、このコンピュータサイエンスという学問への機運がますます盛り上がっていく事が予想されます。
こういった状況の中で、情報系の学部とは縁遠い学問を学んでいる文系の皆さんはどのようにしたらいいでしょう。簡単ではありますが、以下に述べさせていただきます。※どちらかというと、ご家庭がそれほど裕福ではないが大学には何とか入れさせられるレベルのいわゆる「中流家庭」を想定しています。(中流という概念も今や崩壊しつつありますが。。)
大学在学中にやるべきこと
やること②:エンジニアとしてインターン⇒就職
やること③:貯金と職歴ためて留学!
大学入学後
・できるだけ情報系の単位を取得
他学部の科目を受講できるのであれば、情報系の科目をできるだけ多くたくさん受講しましょう。C++、Java、データ構造、アルゴリズム、数学系(微積・線形代数・離散数学)、統計学等です。副専攻とれるのであれば理想。
・放送大学で関連単位取得
※もし単科大学に在学していて情報系の学部がないよっていう場合は、放送大学で関連単位を受講してください。おすすめの授業は、データ構造とプログラミング、アルゴリズムとプログラミング、コンピュータの仕組み、データベース、Javaプログラミングの基礎、問題解決の数理等です。
~追記~
総合大学の一年生でしたら、大学によっては理系学部への転部制度もありますので、そちらを試してみるのもよろしいかと。もし理系学部がないようでしたら、経営学、商学、統計学、経済学、会計学など数学よりの学問を専攻してみる(たとえば文学部から転部する)のもありです。(ビジネス×ITは就職の鉄板なので。)
あとは仮面浪人して情報工学系の学部を受けなおすのも一つの選択肢かもしれません。文系大卒→STEM院という進路はいばらの道です笑。個人的に人生やりなおせるとしたら入りたい大学は、東北大学、筑波大学、慶応SFC、会津大学、公立はこだて未来大学あたりです。できるだけいい大学に入れるに越したことはないけれども、大学名よりも専攻重視で選んだほうがいいと思います。(インターンとかバイトを考えると、地方の駅弁大学よりもやっぱり首都圏や大都市圏の大学がおすすめですね。)情報学部、コンピュータサイエンス学部やデータサイエンス学部といった海外の方にもわかりやすい学部がおすすめです。メディア学部とかデジタルコミュニケーション学部っていう学部を選んでしまうとなかなか海外の方には伝わりにくく、入試やビザ面接で本当にIT系なの、コンピュータサイエンスじゃなくてグラフィックデザインじゃないの?とつっこまれる可能性もありますので。。
・IT系ベンチャー企業でインターン(アルバイト)⇒正規雇用
IT系ベンチャー企業でできるだけ早いうちからインターン(アルバイト)しましょう。できれば人数がそれほど多くない新進気鋭の企業がおすすめです。というのも、庶務だけでなく様々な事業に携わらせてもらえる可能性が高いからです。お金がもらえるだけでなくスキルも身につけられて一石二鳥ですね。正社員登用のチャンスも多く、私の大学の同期は何人かこのルートを経て働いています。
人間関係が合わないようでしたら、バイトの身分ですので辞職して他のITベンチャーでアルバイトとして働きましょう。何度か繰り返すうちでここだという企業か見つかるかもです。※労使双方のミスマッチを減らすという観点からもとても重要です。
プログラミング未経験であっても、庶務でもなんでも一生懸命やりますという意欲みせればポテンシャルでインターン採用してくれるところもあります。プログラミングの自信なくてもまずはweb系ベンチャーに潜りこんでそこから徐々にプログラミングなどにも触っていけたらと。未経験者は独学ずっと続けるより、なるたけ早く実務に触れるのがおすすめです!
※正社員になれるかもという学生の気持ちを利用してインターンを安価でこき使おうとする企業もありますので、そこは注意が必要です。インターンあっせんサイトは(ろくな求人がないし、企業には安価(で優秀)な労働力が手に入りますと触れ込んでますし、マージンまでとってるので)使わずに、自分の興味ある企業の公式サイトから直接アポどりするのが無難です。(就活生になじみ深いWa〇〇edly、マ〇〇ビ、リ〇〇ビ、ゼロ〇〇インターンはなるたけ使わない方がいいですね。)
インターンの募集はなくとも熱意と実力があれば案外話はとんとん拍子で進みます。(IT業界はかなり幅が広くて、技術の会社というより営業の会社もあり、人を売り物として扱う(アウトソーシングする)企業も多々あるので、その辺の見極めが重要です。個人的にはビジネスモデルや営業で勝負している会社より、技術を売り物とする会社の方が後々道は開けるかと思います。営業の会社か、技術の会社かの簡単な見極め方としてはエンジニアがスーツ着ているかどうかで判断してください。着ている会社は営業の会社、着ていない会社は技術で勝負している会社であることが多いです。
※仮に大企業で専門職として働けるのであればベンチャーより大企業の方が福利厚生など諸々の点で有利です。ただ、いわゆる技術系総合職でどこに配属されるか、何をやらされるか、どこに転勤になるか分からないのであれば私は迷わずベンチャーの方を選びます。(これは一長一短あるのでみなさんもよくお考えください。転職コンサルにはまず反対される考え方です。彼らは彼らにとってマージンの多いコンサルしか勧めないので。。)それと、組み込み系とかのR&Dはなかなか都内にはないので、地方居住の可能性がかなり高くなってしまいますので、その辺もよくお考えになった方がいいかもと。。
~追記~
大学の授業よりインターンで学ぶ方がはるかに勉強になります。やっぱり企業の人は手が動く。大学は理論メインなので、企業でバリバリやっている人は大学の授業受けると拍子抜けするかも。(カーネギーメロン、パデュー、バークレーなどレベルの高い研究型大学院で学べるとまた別だろうけど。私の大学は地方のティーチング・ユニバーシティで学べることは教科書の域を出ていません。ペーペーの私にとっては基礎固めが重要なのは承知の上ですが。。)
・海外留学
英語圏の国で半年~一年交換留学しましょう。可能であれば留学終了までにTOEFL100点、IELTS over all 7.0以上あるのが理想です。日本の理系に在籍したことないけど、そこまで留学する人多くはないかもです。(単なる推測ですが。。)留学先は自身が将来働いてみたい場所を希望し、(それが無理な場合は留学時には自身が将来働いてみたい場所に旅行に行って、)実際の環境がどのようなものかチェックしてみましょう。
・就活
一通り大手も受けてみて自分の市場価値がどのようなものかチェックしてみましょう。ただ、(文系卒業生にありがちな)大企業の総合職で働くというのはあまりおすすめしません。というのも、官僚的体質で、転勤先、配属先等も入社直前あるいは研修後にならないと伝えられず、職業選択・居住の自由等にまっこうから反するからです。(実際、人事配置はぺーぺーの希望が通ることは稀で、欠員補充として充てられることが多いです。)エンジニアになりたいのに経理や総務に配属されたら困っちゃいますよね。
※一般的に(文系の場合)大企業は泥臭い事業部3年ローテ×3回、管理部門3年、海外駐在等を経て30代後半~40代前半で(ゼネラリストとしての)管理職になるのですが、そういうキャリアプランはプロフェッショナルとしての私たちの進路とは異なるのでエンジニアを目指す場合は大企業に入るメリットはほとんどありません。(ゼネラリストを目指す場合は商社などを目指す方がやりがいや待遇的によろしいかなと思います。)
エンジニアを目指す場合はインターン(アルバイト)先のベンチャー企業で正社員として雇用され、エンジニアとしてのキャリアを積み重ねていくのが理想です。
※文系・未経験でもSESやSIerなら入れるかもしれませんが、進捗管理(パワポで紙芝居、エクセルでガントチャートによる進捗管理)はうまくなっても、それほど技術は身につかないので、やはりweb系を目指すのがよろしいかと思います。ただ、SIerは文系出身者に向いている仕事ではあるし、大規模なプロジェクトに携われるというメリットもございますし、SESについても未経験者を受け入れていることや様々な職場で働けるというメリットもございますので、どのようにお考えになるかはみなさん次第かと。
・友だち・彼女/彼氏づくり
学業だけでなく、大学時代になんでも話せる友達や彼氏/彼女等の交友関係の幅を広げることもとても重要です。私自身、留学を決意する前に友だちやエンジニアの方々に相談に行き、応援してもらいましたので。一生もののつきあいになりますからね。留学先でもエンジニア仲間がたくさんできたのもとてもすばらしいことです。
社会人
・仕事はバリバリ頑張りましょう
日系企業で新卒として働く場合はかなり負荷がかかりますし、仕事は大変だと思いますが、短期間で成長できるいい機会だととらえ、2~3年は必死でくらいついて頑張りましょう。(3年後には留学するんだ、そのための成長期間だと考えると乗り切れます。)ベンチャー企業の場合は個人の裁量が大きく様々なミッションが与えられる(とともに自発的に動かなければいけないことが多々あるかな)と思います。ときには、これ意味あるのかなっていう不本意なこともあるとは思いますが、すべての仕事が自身の成長につながると思い、がつがつ働きましょう。何だかんだで仕事から得られる経験は学業よりはるかに上回っていると感じている今日この頃です。
(IT企業での勤務経験がないので精神論っぽい曖昧な記述となってしまい申し訳ございせん。このあたりはみなさんの身の回りの先輩方からお話を聞いてみてください。)
~追記~
実際IT企業で働いてみて、実務で得られる経験の方が学業よりはるかに大きいと痛感しました。それと、アメリカのエンジニア求人ではエントリーレベル(新卒)の採用はほとんどないので、できれば4、5年は日本で働いて職歴をつけておくのが理想です。職歴あるとH1bもとりやすくなるみたいです。あと、web系のベンチャーなら(能力があれば)働き方は割とゆるめですし、こき使われることもあんまりないですね。
・貯金
奨学金やGA・TAのoffer次第ですが、800~900万貯めて留学するとだいぶ安心です。(奨学金なしで大都市の私立大学院の修士課程いってしまうと、それでも学費だけで足が出てしまうのでご注意を。都市の生活費含めるとおそらく1,500万円かかります。日本の地方で家一軒建っちゃいますね笑)大学時代からベンチャー企業でのアルバイトを通じてコツコツためておくといいでしょう。実家住みだとやっぱりたまりやすいです。
~追記~
私は大学院から学費半免の奨学金をもらえたので、それで留学しています。ただ、それでも一年で学費・生活費諸々込で200万くらい費用がかかります。2年半いる予定なので500万強が留学費用として必要です。社会人時代の貯金+サマーインターンでの給料+それでも足りなくなりそうな場合は親からのいくばくかの援助(頼りたくはないけれど笑)を想定しています。
・GREの勉強
数学満点、合計330位取れるよう頑張りましょう。verbalは私は伸びなかったので捨てました笑 ほぼ数学で稼いだ感じです笑
・コーディングの勉強等
Atcoderやkaggleの問題に日々挑戦して自身のレベルを高めましょう。アメリカでエンジニアとして働くにはコード(とくにアルゴリズムとデータ構造)書けるかどうかが重要ですので。(私は今のところさっぱり解けません笑)
ちなみにですが、私の研究科のクラスメートはみなCracking the Coding Interviewやっています。この本、昔の電話帳並みに厚いんですよ笑 日本語版とあわせてリンクを掲載します。(これも私のレベルではかなり難しいです笑)
世界で闘うプログラミング力を鍛える本 ~コーディング面接189問とその解法~ [単行本(ソフトカバー)]Gayle Laakmann McDowellマイナビ出版2017-02-27
Cracking the Coding Interview: 189 Programming Questions and Solutions [ペーパーバック]Gayle Laakmann McdowellLightning Source Inc2015-07-01
※大学時代にCS系の授業取り損ねたという方は放送大学で取得してください。おすすめの授業は、データ構造とプログラミング、アルゴリズムとプログラミング、コンピュータの仕組み、データベース、Javaプログラミングの基礎、問題解決の数理等です。
それと、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験も受けてみるといいかと思います。これらの試験はエンジニアとして最低限学ぶべきことが濃縮されていて、アメリカの大学院で学んでいることと被る箇所がいくつもあります。
2019年版 基本情報技術者標準教科書 [単行本]大滝 みや子オーム社2018-11-16
【改訂3版】要点早わかり 応用情報技術者 ポケット攻略本 (情報処理技術者試験) [単行本(ソフトカバー)]大滝 みや子技術評論社2017-02-23
こんな感じでやればアメリカ大学院のいずれかには合格できるのではないかと思います。大学院に入った後は、経済的負担の軽減という観点からできるだけ早く卒業し、OPT(STEM Extention)⇒H1b⇒グリーンカード申請が王道ルートです。仮にアメリカに残れなかったとしても、職歴・学歴ともに国内外でエンジニアとして闘う基礎は身についておりますし、IT業界は雇用の流動性は高く日本に戻ってきたら食いっぱぐれはまずないでしょうから、そんなに恐れることはありません。迷わずに進みましょう!!
以下の本はアメリカでエンジニアとして働くノウハウが網羅的に掲載されているのでとてもおすすめです。
エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド [Kindle版]竜盛博技術評論社2015-10-08