【考察】『イエスタデイをうたって』の榀子先生はなぜたたかれるのか

みなさんご機嫌いかがでしょうか。今日は最近アニメ化されたこともあり話題の『イエスタデイをうたって』についてです。登場人物の中で榀子先生は毀誉褒貶のあるキャラでとりわけネットを中心にうざい、面倒、嫌い、外道、共感できない、イライラするなどと散々たたかれているのですが、今日はなぜたたかれているのか考察してみました。

まずは『イエスタデイをうたって』について簡単にご紹介します。

『イエスタデイをうたって』とは?

イエスタデイをうたって
ビジネスジャンプ→グランドジャンプで連載されていた多摩美の油絵学科卒の冬目景さんによる漫画作品。ジャンルはラブコメ。世田谷周辺が舞台で大学卒業後定職につかずコンビニでフリーターをしているリクオと、高校を中退しカフェ兼バーでフリーターとして働くハル、大学同期で卒業後は教師として働く榀子の恋模様を中心に描く。1998年〜2015年にかけて連載された。全11巻。動画工房によってアニメ化された。タイトルであるRCサクセションの『イエスタデイをうたって』をうたえそうな登場人物が殆ど出てこない稀有な漫画。

榀子先生とは?

石川県金沢出身の高校の化学教師。大学で上京し一度金沢に戻るも、東京で教員として採用され戻ってくる。リクオとは大学のクラスメート。金沢にいた頃の、夭折した幼馴染「湧くん」(浪くんの兄)が忘れられずにいる。

榀子先生は上記画像の左側の女性です。

読み方

最初、原作読んだとき、珍しい漢字なので読み方が分からなかったのですが、榀子は『しなこ』と読みます。

榀子先生がたたかれ、嫌われる理由

男性に対して思わせぶりなところ

榀子先生、わりかし男性のプライベートゾーンに入るんですよね。たとえば、リクオや浪くんに弁当持っていたり、風邪引いたときにリクオを家に上がらせて看病させたりですね。それで男性側が勘違いすると、私そんなつもりじゃないのに、○○君らしくないっていうのはずるいですよね。

本人はあくまで善意としてやっていて、男性側にそういう誤解をさせていることに気づかないあたりが、かなりデリカシーに欠けますよね。

浪くんを邪険にしすぎている

榀子先生に思いを寄せている浪くんが迫ったところ泣いて拒み、その足でリクオに会いに行くくだりはいつみても浪くんかわいそうだなと。

こんなに邪険にしてたら、そりゃ浪くんも他に女性作るよなと。

教員という職業柄が悪い方に出ている

根が真面目でとても優しい方で世話を焼きたがりだとは思うのですが、そのせいでかなりトラブルに巻き込まれているような気がします。適度な距離感を保てば、男性側も自然にフェードアウトしていくところを無理に引っ張って結局炎上するっていうのはお互いにとってもやっぱりよろしくないのかもしれません。

結局学校の外から出てことないというのが榀子先生の性格をエスカレートさせちゃったのかと。このあたりのキャラ付けは作者が見事だなと。

亡き人の思いをカモフラージュするためリクオとつきあったのはやはりひどい

これが一番ヘイトを集めている要因だと思うのですが、亡き同級生の湧くんへの思いはありつつも世間体などを気にして、その思いをカモフラージュするためにリクオとつきあった(テイな)のはさすがにひどいなと笑 結局彼氏彼女との関係にはなれず、(そもそも湧くんへの思いはずっと残っていたので)優柔不断なリクオ側からふることになったシーンは見るに耐えませんでしたね笑

リクオは優柔不断でプータローだったけれど、そのなかで当初から唯一エネルギーを注いでいたのは榀子先生のことだったので、この結末はさすがにリクオかわいそうですよね。。

他のキャラクターに比べると榀子先生だけ成長していない気がする

ハルちゃんは、当初はリクオにとって二番でありつつもそれでもめげず、かつ湊くんや雨宮さんの誘いにものらず一途にリクオを押していてその過程で成長しているように思えます。

浪くんは作中で一番成長したキャラだと思っていて、高校、予備校、美大、モデルさんとの出会いを経て人間的に成長している描写がありましたね。

リクオだって優柔不断ではありつつも、フリーターを脱して正職について最終的にハルちゃんエンド迎えるのは立派な成長ですよね。

ただ、榀子先生だけ過去のことを最後まで引きずっていて前向きになろうとはしているものの結局この先も引きずりそうな可能性もあるなとちょっと心配になってきましたね。最終話の桜の木のシーンも過去を惜別し未来に向かって歩みますということを暗示しつつも実際のところ、榀子先生の性格的にそうなれるかは疑問符がつきますよね。

そもそもリクオがなぜ榀子先生に惹かれているのかわからない

原作1巻の榀子先生は、(冬目景さんがキャラづけを固定する前だったこともあり)ものすごくサバサバしていたキャラクターでしたので、その性格に奥手のリクオが惹かれるのはなんとなく理解できるのですが、中後期のキャラ付け(どことなく中高生っぽくなった)榀子先生にリクオが惹かれるのはいまいち理解できなかったりします。

押しの弱い優柔不断な男じゃなくて、押しの強い一途な男とあっているのかもしれない

この漫画の趣旨からはかなり外れることとなりますが(笑)、アメフトやっていた方とかラガーマンと付き合った方が意外とあっているかもしれませんね笑 最終話で浪くんと今後距離を縮めていきそうな描写はあるけれど、年の離れた年下の浪くんよりも、(若干オラオラ系の)年上でぐいぐい引っ張っていく方の方が実際あっているかもしれませんね。

私の高校時代、今から10年以上前(たしかまだ5巻までしか発売されていなかった頃)には、リクオはヘタレと同級生が言っていったのを覚えているので、どっちかというと榀子先生よりもリクオ側に問題がある気がしてなりません。

とはいうもののかなり魅力的な方だと思う

かなり扱いにくい性格の持ち主だとは思うものの、(本人に悪気はないところが)文系のクラスだと一人はいた方だとは思いますし、そういったあるある的な関係性の機微をうまく表していて私個人としては榀子先生のキャラクターはとても好きですね。こういった方と良好な関係築けるようになると人としての深みが増すんじゃないでしょうか。

私はファンタジーのハルちゃんよりなんだかんだで面倒見のよい榀子先生派でしたので、最後のハルちゃんエンドはちょっと悲しかったですね。

榀子先生という未亡人属性のキャラクターを描いた作者はすばらしい

未亡人キャラとして榀子先生を描き、読者をやきもきさせていた冬目景さんはやはり天才だと思います。本当に未亡人っぽいふるまいをみせてますからね。時代を経ても様々な方から議論される(おそらくこれからも議論されるであろう)榀子先生、これが名作と呼ばれる所以でしょうね。

冬目景さんの作品で醸し出される叙情はいつ見てもすばらしいものです。

高橋留美子さんの『めぞん一刻』の影響

冬目景さん、高橋留美子の大ファンで同人誌も書いているので、『めぞん一刻』などから榀子先生のキャラはインスパイアされているっぽいですね。

『めぞん一刻』と『イエスタデイをうたって』を比較するとわかりやすくて、五代くん→リクオ、響子さん→榀子先生、惣一朗さん→湧くん、こずえちゃん→ハルちゃん、三鷹さん→雨宮さんとそれぞれなっているのかなって考えています。

三鷹さんキャラは最初は浪くんかなと思ったのですが、浪くんは荒削りなので、やはりリクオの上位互換である雨宮さんがふさわしいなと。

『めぞん一刻』と異なるところは最終的に響子さんは総一朗さんとの過去に向き合った上で五代くんとともに過ごすこととなるのですが、その点、『イエスタデイをうたって』では榀子先生はダークサイドに落ちてしまい、結局過去にとらわれてしまい、リクオと別れることになります。おそらく今後も一生過去にとらわれることになりそうです。

他にも、『めぞん一刻』ではこずえちゃんが最終的に他に男をつくって結婚するのに対し、ハルちゃんは(雨宮さんからのアプローチを受けつつも)ずっとリクオに一途ですね。三鷹さんキャラの雨宮さんが管理人さん(榀子先生)にではなく、こずえちゃん(ハルちゃん)にアプローチするってのが新鮮ですね。

あわせてお読みください!

ということで今日はこんな感じです。