みなさんご機嫌いかがでしょうか。高校から冬目景さんの作品にはまって一通りの作品を読んでおりますので、今日は私の好きな冬目景さんの作品の特徴についてご紹介します!まずは簡単に冬目景さんについてご紹介します!
Contents
冬目景さんとは?
冬目景さんの作品の特徴
モラトリアム
主人公が就職活動をせずに大学を卒業してもフリーターだったり、高校中退だったり、それに少し自分や周りの人が引け目を感じていたりするモラトリアムっぽい感じが作品の随所に出ています。
懐古趣味
大正時代であったり、和服であったり、古い建物であったり、そういった(日常ではなかなか使ったり目にすることのない)古いものに対する愛着が作者の中で人一倍あって作品の中でも随所に出てきています。そしてその古いものが冬目景さんの画風ととてもマッチしていて素晴らしい作品を生み出しています。
タバコ
冬目景さんの作品は本当にタバコ吸っている人多く出てきますよね。『イエスタデイをうたって』のはるちゃんとかリクオくんとかね。作品の随所に出てくるので今の時代にはちょっとそぐわないかもですが、それでもタバコ吸っている様はなんとも言えない情緒が出ていていい感じです。
美術部・美術予備校・美大関連(特に油絵)
作者が多摩美で油絵専攻していたということもあって、漫画の随所に美術に関する事柄が出てきます。例えば、『羊のうた』の美術部の八重樫さんとか、『ももんち』で主人公が美術系予備校に通って美大の受験を目指しているとか、『イエスタデイをうたって』の美術部の浪くんとかですね。
80年代カルトホラー好き
『イエスタデイをうたって』3巻でハルちゃんが湊くんから映画デートに誘われてそのタイトルが『死霊のバスケット・ケース』だったのですが、まんま『死霊のはらわた』と『バスケット・ケース』のオマージュだなって思いましたね。
おくすりネタ
冬目景さん、けっこうおくすりや葉っぱネタが好きなんですよね。特に短編集は結構葉っぱネタがありますし、『羊のうた』でも薬の話は出てきますね。
病気・看病ネタ
病気・看病系のお話も鉄板ですね。『イエスタデイをうたって』で夭折した湧くんもそうですし、リクオもしょっちゅう風引いてますからね。『羊のうた』の一砂や千砂もそうですし、他の作品でも病弱な方、特異な持病に苦しむ方はたくさん出てきます。
古い建築物
冬目景さんの作品では、主人公がとても古い家(『イエスタデイをうたって』のリクオやハルちゃん、『羊のうた』の千砂)に住んでいることが多いのですが、これは冬目景さん自身の趣味が反映されていて、古い建築物がお好きで見かけると記念に写真をとっているようです。
親近者の死
絵柄的にマッチするせいか親近者の死に関する描写がとても多いですね。たとえば、『イエスタデイをうたって』の湧くん、『空電の姫君』のチアキくんや夜祈子のお母さん、『羊のうた』の千砂とそのお父さんといったように枚挙に暇がありません。
冬目景さんは人の死がもたらす叙情に頼りすぎだっていう批評(批判?)があってそれは的を得ているとは思いつつも、『ももんち』のように人が死ななくてもすばらしい作品も描けるので、今後は人の死なない漫画ももっとたくさん書いてほしいと思いますね。
まれに出現する怪獣特撮
おそらくですけど、作者はB級スプラッター映画であったり、怪獣特撮がかなり好きなのかなと思います。『イエスタデイをうたって』でも作中で怪獣特撮に関連するような自主制作映画作ったり、ハルちゃんがリクオを映画に誘ったときにゴジラのパクリみたいな怪獣特撮映画だったかなとおもいますので。
音楽描写
作者が音楽系の部活に一時期所属していたということもあって、音楽描写のある作品もあります。面白いのは音楽描写なのですが、たとえば沙村広明さんの漫画だと自作のポエムや歌詞がたくさん出てくるけど、冬目景さんの漫画には一切そういうのが出てこないんですよね。音楽的な擬音もほとんどなく、登場人物の表情や、場の雰囲気で表現しているのはやっぱり目を見張るものがありますね。
ファンサービスがよい
冬目景さんの作品の特徴だと思うのがファンサービスの良さですよね。たとえば、木ノ下さんなんて『羊のうた』では弟が出てきて、『イエスタデイをうたって』では妹とバンドマンの兄がでてきますからね。陸続きの世界観ってなんだか親近感がわいていいですよね。『ももんち』でも、主人公ももねちゃんの友達として、『イエスタデイをうたって』の中原さんが出てきますからね。
ファンと向き合うことも大事にしていて、同人誌も数年に一度発行されています。同人誌を買うと来年はこの作品が復活などファン向けの情報が盛りだくさんで書かれていて素晴らしいですね。
執筆が遅いという方方からの指摘についても、単行本の巻末などで真摯に謝罪して実際に作品を続々と完結されているので、ファンの声を汲み取っているのかなと思います。独自の作風ということもあって、時には筆の進まないこともあるかとは思いますが、作品を完結させるという意思がおありなので、時間はいくらかかってもいいのですばらしい作品を作り上げていただきたいなと。出た作品は必ず購入します!
まれに出現する怪しくてかわいいメカ
『黒鉄』の主人公、鋼の迅鉄の仕込み武器であったり、短編『田中02』の主人公のお父さんが作った怪しいメカであったり、『ZERO』の掃除ロボ、警備ロボ(『魁!!クロマティ高校』のメカ沢にそっくり)であったり、たまにメカが出てくると怪しいんだけどけっこうかわいいのでああいうメカ出してくれるといいですね。
短編集が長編より面白い
短編集が長編よりも面白い事が多いんですよね。どうしても長期連載だと間延びしてしまうので(それはそれで日常感、ふわふわ感が演出できていてとてもここちよくはあって好きなのですが)、やっぱり短編の方が密度が濃いっていう気がしますね。
やっぱり自分がおすすめなのは、1巻完結の『ももんち』であったり、短編『僕らの変拍子』中の『六畳劇場』や『銀色自転車』(イエスタデイをうたっての原型のような話)ですね。
高橋留美子さんインスパイア
『イエスタデイをうたって』を見ていて思ったのですが、これはかなり高橋留美子さんの『めぞん一刻』に影響を受けているのかなと思うんですよね。『めぞん一刻』の管理人さんは未亡人ですが、『イエスタデイをうたって』の榀子先生も幼馴染を失っていることと、遅々として展開が進まなかった(けど雰囲気心地よい)感じで、どんどん新キャラが出ていくようなところがかなり高橋留美子さんにインスパイアされているのかなと。それと高校生〜大学生あたりの思春期の男女がよく出てくるのも高橋留美子産の特徴ですね。
『イエスタデイをうたって』の11巻巻末インタビューを見ていたらなぜ恋敵が年下の浪くんなんですかっていう指摘があって、恋敵が年上、裕福な人が多かったので、あえて年下にしたとの回答があります。たとえば、高橋留美子さんの『めぞん一刻』では恋敵が年上、イケメン、裕福な三鷹さんですのでそういった王道ラブコメからのずらしっていうのも冬目景さんの中で意識されているのではないでしょうか。
今後こういった作品が見たいです!
松任谷由実さんがデビュー直後は主に若年層向けの恋愛であったり、身の回りのことを中心に歌っていたけど、その後は(春よ来いであったり、時空のダンスであったり)大人向けのより広い方向性にシフトしたように、冬目景さんにもそういったこれまで扱ってこなかったような方向性に挑戦していただきたいなという思いはあります。
精神的にちょっとふわふわしている10代後半-20代中ばの女の子を中心に描くだけでなく、やっぱり年齢を重ねていくからこそ感じるようになったことってあると思いますし、積み上げてきた知見もおありかなと思いますので、そういった30代-40代を主人公とした作品っていうのもぜひ見たいなとは思います!高学歴ワーキングプアとか氷河期世代向けのものももっと見てみたいなと。
ということで今日はこんな感じです!
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